日本外科教育研究会
  • Home
    • 会則
    • 役員名簿
    • LInks
  • Surgical Education Summit
    • 2021 Virtual SES
    • Past SES >
      • 2020 SES
      • 2019 SES >
        • Program
        • Photo Gallery
      • 2018 SES >
        • Program
        • Photo Gallery
      • 2017 SES >
        • Photo Gallery
      • 2016 SES >
        • Photo Gallery
      • 2015 SES >
        • Program
        • Presentation slide
        • アンケート結果
      • 2014 SES
    • McGill Surgical Education Scholarship >
      • 2020-2022 McGill Surgical Education Scholarship
      • Past Scholars
  • Surgeons as Educators
    • 2020 Surgeons as Educators CORE1
    • 2019 Surgeons as Educators CORE1
  • Surgical Smoke
  • FUSE
    • FUSE資格取得者一覧
    • FUSE資格試験の流れ
    • FUSEスケジュール
    • FUSE関連コンテンツ
    • MAGE Project
  • EduBlog

EduBlog

外科教育に関わる情報をブログで発信
Home

Milestones:継続的な到達度評価

12/16/2014

0 コメント

 
Picture
米国ではACGME(Accreditation Council for Graduate Medical Education)という機関が卒後臨床研修プログラムの許認可を行っています。米国の医師会や病院協会、医科大学協会などが合同で運営する民間の非営利団体ですが、ACGMEが定めるルールは関係者にとっては法律と同様の強制力を持ち、事実上の国際標準としての影響力もあります。

このACGMEが前回の投稿でお話しした「良い医師とは何か?」という質問に対して専門家を集めて協議し、捻出した答えが下記六つのコンピテンシー(Competencies)です。コンピテンシーは概ね「能力」に相当する言葉で、知識や技能、態度についてどれだけ基準を満たす仕事が出来るかを表現するものです。ACGME的に、良い医師(研修医)には下記の領域における「能力」が求められるということです:

1.    Patient Care (and Clinical Skills):患者のケア。患者の話を聞くなど、患者本位の医療を実践することが主旨だが、確実な手技など技術的な面も含む。
2.    Medical Knowledge:適切な医学的知識。
3.    Practice-Based Learning and Improvement:自己研鑽、自己学習。最新のエビデンス基づく診療や教育の実践など。
4.    Interpersonal and Communication Skills:対人関係、コミュニケーション能力。
5.    Professionalism:プロとしての責任感、態度、倫理観。
6.    Systems-Based Practice:医療システムの社会的役割の認識、主にはコスト意識を持った保険医療の実践など。

臨床研修において、それぞれのコンピテンシーを意識した総括的評価が求められます。今までは所定の年数を経てから経験症例数やレポートといった提出物や専門医試験などにより一括で評価されていました。しかし、より詳細な管理責任・説明責任を求めるようになってきた世情を背景として継続的な評価が求められ、現時点で年2回の報告を行うようACGMEが制度化したのがMilestone Projectです。

Milestoneとは「標石」、つまり研修の経過において節目となる到達目標を意味します。ACGMEが次世代の認定制度として提唱し、一般外科など診療科毎の到達目標や評価項目について主な学会と協力したMilestone Projectが2013年から実施されています。

一般外科では合計16の項目で、前回ご紹介したGlobal Rating Scaleの要領で診療場面の観察による5段階評価が行われます。段階は下記の通り大雑把なものですが、研修の進捗状況について客観的な記録が残されることになります。具体例としてシミュレーション教育についての評価が記載されている項目もあるので併記します。

Critical Deficiencies: These learner behaviors are not within the spectrum of developing competence. Instead they indicate significant deficiencies in a resident’s performance.
期待されている学習や成長に見合わない行動があり、明らかな能力(知識・技能・態度)の欠如が示唆される。例:指示されたシミュレーション教育活動に参加しない、無断で欠席する。
Level 1: The resident is demonstrating milestones expected of an incoming resident.
新規採用(医学部新卒)に相当する能力を示している。例:指示されたシミュレーション教育活動に出席し、参加する。
Level 2: The resident is advancing and demonstrates additional milestones, but is not yet performing at a mid-residency level.
研修の進捗は見られるが、まだ能力は習得途上である。例:不足している技能を習得すべく、自主的に指導者と学習プランを構築する。
Level 3: The resident continues to advance and demonstrate additional milestones; the resident demonstrates the majority of milestones targeted for residency in this sub-competency.
研修の進捗が継続し、該当項目において研修で獲得すべき能力の過半数を達成。例:シミュレーション環境で自主的に練習を行い、習得した技能の向上を図る。
Level 4: The resident has advanced so that he or she now substantially demonstrates the milestones targeted for residency. This level is designed as the graduation target.
研修で獲得すべき能力を十分に達成している。卒業の基準を満たす。例:学生や研修医のためのシミュレーション教育活動を主導し、カリキュラム開発にも加担する。

レベルの数字は必ずしも卒後年数との一対一対応ではなく、理論的には評価項目によって入職時に既に卒業に必要な能力を備えているという評価も可能です。逆に、長年の研修を経てもレベル1の要件を満たさない可能性もあります。

外科の研修医が卒業までに基本的な手術手技ができることを確認するのは研修プログラムとしては当然で、決して真新しいことではありません。しかし、今まで何となく流れに任せたり、研修医個人の努力に頼っていた管理責任や説明責任を果たすために研修プログラム側に継続的な報告義務を課してデータ化している点がMilestone Projectの特徴です。

ACGMEによる「良い医師」の評価は今のところ安全な医療を実践するために必要最低限の能力を持ち合わせる初歩的なレベルから導入が進んでいます。しかし、患者は最低限の能力を持つ医師による診療に満足するとは限らず、卓越した能力を持つエキスパート、つまり「名医」に診てもらうことを望んでいます。将来的にはACGMEも研修修了の合否という次元を超えて、「名医」の育成と評価を展開したい意向があるようです。

Kiyoyuki
0 コメント



メッセージを残してください。

    Archives

    6 月 2020
    5 月 2020
    4 月 2020
    12 月 2019
    9 月 2019
    7 月 2019
    1 月 2019
    7 月 2018
    7 月 2015
    5 月 2015
    2 月 2015
    1 月 2015
    12 月 2014
    11 月 2014

    EduBlogに協力いただいた先生

    Kurashima Yo

    北海道大学大学院医学研究院
    クリニカルシミュレーションセンター・消化器外科II 准教授

    Watanabe Yusuke

    北海道大学病院​臨床研究開発センター・消化器外科Ⅱ ​特任講師 

    Miyasaka Kiyoyuki

    聖路加国際大学 麻酔科

    Sunada Masumi
    京都大学医学研究科 婦人科学産科学分野

    Categories

    すべて
    教育研究

    RSS フィード

Home
SES
SIMIWIKI
EduBlog
FUSE
役員名簿
​会則
Contact us
  • Home
    • 会則
    • 役員名簿
    • LInks
  • Surgical Education Summit
    • 2021 Virtual SES
    • Past SES >
      • 2020 SES
      • 2019 SES >
        • Program
        • Photo Gallery
      • 2018 SES >
        • Program
        • Photo Gallery
      • 2017 SES >
        • Photo Gallery
      • 2016 SES >
        • Photo Gallery
      • 2015 SES >
        • Program
        • Presentation slide
        • アンケート結果
      • 2014 SES
    • McGill Surgical Education Scholarship >
      • 2020-2022 McGill Surgical Education Scholarship
      • Past Scholars
  • Surgeons as Educators
    • 2020 Surgeons as Educators CORE1
    • 2019 Surgeons as Educators CORE1
  • Surgical Smoke
  • FUSE
    • FUSE資格取得者一覧
    • FUSE資格試験の流れ
    • FUSEスケジュール
    • FUSE関連コンテンツ
    • MAGE Project
  • EduBlog